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ホームページ制作を外注するときに確認したい「契約」と「管理権限」|事業を止めないための5つのポイント

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美容サロンのネット予約、オンラインスクールの受講申込、ECサイトの決済機能——。 今やホームページ(Webサイト)は、単なる「会社の看板」を超えて、 日々の売上や顧客対応を直接支える「事業のインフラ」です。

しかし、もし現在の制作会社やフリーランスと連絡が取れなくなった… あるいは他社へ乗り換えようとしたとき、 そのホームページをスムーズに引き継げる状態になっているでしょうか?

「契約書に『著作権は発注者に帰属する』と書かれているから大丈夫」 と思っていても、実際には、 ログインできない、データを引き継げないといった問題が生じることがあります。

本記事では、事業に欠かせないホームページを運用する事業者の方向けに、万が一の際にも事業を止めないための「契約時の確認事項」と「日常の管理権限」についてわかりやすく解説します。

ホームページの引っ越しについての4コマ漫画 1コマ目 ホームページの引っ越しについての4コマ漫画 2コマ目 ホームページの引っ越しについての4コマ漫画 3コマ目 ホームページの引っ越しについての4コマ漫画 4コマ目

1. なぜ今「ホームページの引継ぎ」を考えておく必要があるのか?

単なる会社案内と「Web集客・決済サイト」の違い

会社案内や名刺代わりのサイトであれば、 万が一数日間閲覧できなくなったとしても、すぐに事業全体が停止するわけではありません。

一方、以下のような機能を備えたサイトの場合、 閲覧不能や管理上のトラブルは 売上や顧客対応に直接影響する可能性があります。

美容室・サロン: 24時間受付のWeb予約・指名システム

オンラインスクール: 体験レッスンの申込、受講生専用ページ、月額決済

士業・コンサルタント: お問い合わせフォーム、資料ダウンロード

「ずっと同じ制作会社にお願いできる」とは限らない

長年付き合っている信頼できる制作者であっても、 将来的に体制が変わるリスクはゼロではありません。

制作会社の倒産・廃業

担当者の突然の退職・独立

個人制作者(フリーランス)の病気・休業・引退

自社の事業拡大に伴う、制作会社の変更(乗り換え)

2026年には、ホームページ制作・管理を行っていた企業の破産に伴い、破産管財人から利用事業者に対してドメイン移転(AuthCodeの発行)やサイトデータの移管手続きに関する案内が順次行われた事例もありました。

倒産自体は例外的な出来事ですが、外部に管理を任せている以上、 「今の事業者が対応できなくなったらどうするか」という 出口戦略(引継ぎ体制) をあらかじめ整えておくことが大切です。

2. 「著作権=自社のもの」でも安心できない理由

契約書に「制作物の著作権は発注者に譲渡する」と明記されていても、 それだけでスムーズに引き継ぎできるとは限りません。 Webサイトの運用には 「法律上の権利関係(著作権等)」 と 「実際に動かすための管理権限(アクセス権・データ)」 の2つが存在するからです。

文化庁の「誰でもできる著作権契約マニュアル」でも、 著作物の利用許諾と著作権の譲渡は別の契約として整理されています。 利用許諾の場合は、契約で定められた利用方法や条件の範囲で利用することになります。

権限とライセンスの確認ポイント

1 アクセス権がない場合

著作権が自社にあっても、サーバーのログイン情報が分からず、 WordPressの管理画面にも入れなければ、別の制作者に依頼してすぐに改修や移管を行うことは困難です。

2 第三者の素材・ライセンス

サイト内で使われている写真、フォント、テーマ、プラグインなど、 第三者が権利を持つ素材については、制作会社自身が権利を譲渡できない場合があります。 移管後も継続して利用できるかどうかは、それぞれのライセンス条件を確認する必要があります。

「権利の帰属」だけでなく、 「実際に自社で管理・移管できる状態にあるか」 をセットで確認しておくことが重要です。

3. 契約前・運用中に確認したい5つの重要ポイント

制作会社と契約を交わす際、 あるいは現在の管理状況を見直す際は、 以下の5点を確認しておくと安心です。

① ドメインの登録者と管理状況

ドメイン(例:example.com)は、 Webサイトやメールアドレスの識別に使われる重要な情報です。

誰が登録者となり、誰が管理しているのか?

移管が必要になった際、 手続き(AuthCodeの取得など)を進められる状態か?

制作会社に取得や管理を任せる場合でも、 誰が登録者となっているのかを把握し、 必要なときに他社へ移管できる管理状況にあるか を確認しておきましょう。

② サーバーの契約形態と「メールアドレス」への影響

サーバーを変更する場合、Webサイトのデータ移管だけでなく メールの設定(DNS設定等)も関係してきます。

info@example.com のようにサイトと同じドメインでメールを運用している会社では、 サーバーの切り替え手順を誤ると メールの送受信に影響が出る場合があります。 事前に自社のメールがどのサービスで運用されているかを 整理しておきましょう。

③ WordPressなどCMSの「管理権限」

WordPressなどのCMS(更新システム)を利用している場合、 自社でも必要な管理権限を確保しているか を確認します。

ユーザー権限が制限されていると、サイトの設定変更など、管理画面上で行える作業にも制限があります。 WordPress公式ドキュメントでも、 「管理者(Administrator)」は単一サイト内の管理機能にアクセスできる 権限として整理されています。

ただし、WordPressの管理者権限と、 サーバーやデータベースへのアクセス権限は別です。 制作会社と役割分担を整理しつつ、 他社への引継ぎに必要な情報や権限を誰が管理しているのかも把握しておくとよいでしょう。

④ 予約・決済システム・外部サービスの契約主体

予約フォーム、オンライン決済、メール配信などの外部サービスを利用する場合、 可能であれば自社を契約主体とし、制作側には作業用のアカウント権限を付与する形 が実務上スムーズです。

もし制作会社側が契約を一括して行っている場合は、 契約終了時にアカウントの変更や移管がどのように行われるかを事前確認しておきましょう。

⑤ バックアップデータと契約終了時の「引き渡し範囲」

WordPressなどの一般的なWebサイトを他社へ移行・復元するには、 画像やテーマ、プラグインなどの ファイル群と、記事や設定情報が格納されたデータベースの両方 が必要になります。 WordPress公式ドキュメントでも、一般的なWordPressサイトの完全な復元には、ファイルとデータベースの双方のバックアップが必要とされています。

契約時には、単に「データを引き渡す」という表記にとどめず、 どのデータが対象となるのか、どのような形式で、いつまでに提供されるのかを具体的に確認しておくと、 解約時の認識のずれを防ぐことができます。

あわせて、引渡しや移管作業に別途費用がかかるのか、 制作会社がどこまで作業に協力するのかについても 確認しておくとよいでしょう。

4. 「通常の解約」と「突然の対応不能」を分けて備える

引き継ぎの備えは、状況に応じて2つのアプローチで考えます。

通常の解約・乗り換え

契約書の手順に従って進めます。 データの引渡期限、移管作業への協力範囲、 費用負担などを契約時に明記しておくことが 事前のトラブル防止につながります。

相手方の突然の対応不能
(倒産・連絡不通など)

相手方の協力を前提とした契約条項だけでは 即座に対応できない場合があります。 そのため、別の事業者へスムーズに引き継ぐために必要な情報や権限を日頃から自社側でも確保しておくことが大切です。

5. 【セルフチェック】自社のホームページ管理状況を確認してみよう

現在の運用体制について、以下の項目を一度確認してみることをおすすめします。

ドメインがどの事業者で管理され、 誰が登録者になっているか把握している

サーバーの契約者や運用形態を把握している

WordPressなどのCMSについて、 自社に必要な管理権限がある

予約・決済など重要サービスの契約主体や 変更方法を確認している

サイトのファイルデータおよび データベースのバックアップ方法を把握している

契約終了時に受け取れるデータの範囲や 引き継ぎ方法が決まっている

写真・フォント・テーマなどの 利用条件・ライセンスを確認している

現在の制作会社が対応できなくなった場合に備え、 管理情報を自社で保管している

※すべての操作を自社で完結させる必要はありません。 専門家に運用を任せつつも、「自社のWebサイトがどのような仕組みで動き、誰が何を管理しているかを把握できている状態」を目指しましょう。

まとめ:ホームページは「運用の出口」まで見据えて確認する

Web制作を依頼する際は、完成時のデザインや費用に目が向きがちです。

しかし、長期間にわたって事業を支えるホームページだからこそ、制作会社を変更したり契約を終了したりする際の「出口」まで見据えておくことが、将来の事業リスクを軽減することにつながります。

制作会社やフリーランスに運用を任せること自体に 問題があるわけではありません。 ただし、 「任せている」ことと、「自社では何も分からない」ことは別です。

契約を結ぶ段階から引き継ぎの条件を確認し、 運用中も自社の管理情報を整理しておくことで、 万が一の環境変化にも対応しやすくなります。

ホームページ制作・保守の契約書を確認したい方へ

契約終了時の「引継ぎ」まで考えた契約書に

ホームページ制作や保守の契約では、 制作内容や料金だけでなく、 契約終了時のデータ引渡し、 ドメイン・サーバーの扱い、 著作権・利用権などについても、 実際の取引内容に合わせて整理しておくことが大切です。

かなぱす行政書士事務所では、 相手方から提示された契約書のチェック・修正や、 自社の取引内容に合わせた契約書の作成に対応しています。

「契約終了時の引継ぎについて、この内容で足りるのか確認したい」 「Web制作・保守の取引に合わせて契約書を作りたい」 といった場合も、お問い合わせください。

※すでにトラブルが発生している場合

本記事は、契約前や継続的な運用段階で確認しておきたい 予防的な事項を解説しています。 すでに「制作会社と連絡が取れない」 「データの引き渡しを拒否されている」 「解約や損害賠償をめぐって紛争になっている」 といった事態が生じている場合は、 個別の法的対応が必要となります。 速やかに弁護士などの専門家へご相談されることを推奨いたします。

参考資料

文化庁 「誰でもできる著作権契約マニュアル 第1章 1.(2) 著作権に関する契約について」

著作物の「利用許諾」と「著作権譲渡」の違い、 利用許諾を受けた著作物を第三者へ利用させる場合の 考え方などを確認できます。

文化庁「著作権に関する契約について」

株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 「ドメイン名の管理指定事業者の変更」

JPドメイン名等の管理事業者を変更する際の手続きや、 認証コード(AuthCode)の役割について確認できます。

JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」

WordPress.org 「Roles and Capabilities」

WordPressの管理者(Administrator)、 編集者(Editor)など、 ユーザーごとの権限の違いを確認できます。

WordPress.org「Roles and Capabilities」

WordPress Developer Resources 「Backups」

一般的なWordPressサイトを復元するためには、 サイトのファイルとデータベースの双方を バックアップする必要があることが解説されています。

WordPress Developer Resources「Backups」

ホームページ制作・管理会社の破産管財人による ドメイン・サイトデータ移管に関する告知(2026年)

破産後、利用者向けにドメイン移転、 AuthCodeの提供、移管承認、 ホームページデータの移管などに関する案内が 実際に行われた事例です。

「現在利用されているドメインの移転について」 / 「ドメイン移管作業の詳細について」

※確認日 2026.9.22

※本記事における法律・制度に関する記述は、 2026年9月時点の法令・公的情報をもとにした一般的な情報です。

※Webサイトの構成、契約形態、 ドメイン・サーバー・CMS・外部サービス等の管理方法は、 利用しているサービスや個別の契約内容によって異なります。

※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、 個別の案件について法的判断を示すものではありません。 実際の契約締結や運用にあたっては、 必要に応じて専門家へご相談ください。

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この記事を書いた人
林 佳奈
かなぱす行政書士事務所
林 佳奈

スパルタ教育の法科大学院で磨き上げた「分析力」と、逆境に立ち向かう「不屈のメンタル」が自慢の行政書士です。趣味は似顔絵作成。


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